独行道
一、世々の道をそむく事なし
一、身にたのしみをたくまず
一、よろづに依怙の心なし
一、身をあさく思、世をふかく思ふ
一、一生の間欲心思はず
一、我事において後悔をせず
一、善悪に他をねたむ心なし
一、いづれの道にもわかれをかなしまず
一、自他共にうらみかこつ心なし
一、恋慕の道思ひよるこころなし
一、物毎に数奇このむ事なし
一、私宅におゐてのぞむ心なし
一、身にとつに美食をこのまず
一、末々代物なる古き道具所持せず
一、わが身にいたり物いみする事なし
一、兵具は格別、余の道具にたしなまず
一、道におゐては、死をいとはず思ふ
一、老身に財宝所領もちゆる心なし
一、神仏は貴し、神仏をたのまず
一、身を捨ても名利はすてず
一、常に兵法の道をはなれず |
*「二天記」においては「身をあさく思世をふかく思ふ」「身を捨ても名利は捨てず」は削除され十九条になっています
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